2025年10月8日、医療言語処理サービスを開発・提供するエニシア株式会社(本社:京都市左京区)の代表取締役である小東 茂夫が、台湾の初代デジタル発展省大臣を務めたAudrey Tang(オードリー・タン)氏と、toberu2株式会社フェニクシー運営)にて対談いたしました。

本対談では、「プライバシーが極めて重要な医療分野において、ビッグデータを活用する際に、その価値と社会の信頼の両方を獲得するにはどうすればよいか?」をテーマに議論が交わされました。

社会的価値とプライバシー保護を両立させる「プライバシー強化技術」

小東からの「医療分野におけるデータ活用の価値と社会の信頼をいかに両立させるか」という問いに対し、タン氏は、プライバシーを侵害することなく生データと同等の有用性を目指す「プライバシー強化技術(Privacy-Enhancing Technologies)」の重要性を強調されました。

また、タン氏はその具体的な手法として、暗号化されたデータに対して計算処理を行い、データ所有者のみが結果を復号できる「準同型暗号化」や、データを分散させたまま分析する「マルチパーティ計算」などを紹介されました。

さらに、COVID-19の流行中に台湾で導入された接触追跡システムの事例を挙げられました。このシステムでは、通信会社、店舗、政府がそれぞれ断片的な情報しか持てない仕組み(マルチパーティ計算の一例)を構築し、データは14日で削除されるという厳格なルールを法律と数学の両面から担保しました。これにより、個人のプライバシーを最大限に保護しながら、公衆衛生という社会全体の利益に貢献し、国民の信頼を勝ち得た経験を共有いただきました。

対談を通じて得られたインサイトとエニシアの今後の展望

今回のタン氏との対談を通じ、私たちは以下の重要なインサイトを得ました。

「医療のようなとりわけ機密性の高い分野で、データ駆動型システムへの国民の信頼を築くには、準同型暗号化などの『プライバシー強化技術』の活用と、それを支える強力な『法的保護(ルール)』の確立が不可欠である」

エニシア株式会社は、医療言語処理サービスの開発において、患者様のプライバシー保護を最優先事項として位置づけています。今回の対談で得られた知見を活かし、最先端のプライバシー強化技術の導入を積極的に進めるとともに、倫理的・法的な側面からも信頼性の高いサービス構築に全力を尽くしてまいります。

私たちは、プライバシーを最高水準で保護し、データの有用性を最大化することで、医療の質の向上と発展に貢献してまいります。


本件に関するお問い合わせ先 エニシア株式会社 広報担当 pr@enishia-inc.co.jp